去る4月16・17日、第1回日本クリニカルパス学会・近森病院パス大会見学会に参加させていただきました。愛媛県を中心に17施設53人の参加がありました。当日の高知は、初夏を思わせる爽やかな陽気で、多くを学び吸収しようと見学会に望んだ私たちにとって、大変すがすがしい2日間でした。
 見学会の始まりは近森会理事長、近森正幸院長先生の『近森会の過去、現在、そして未来「チーム医療」と「地域医療連携」』と題したお話でした。先生は「高知は貧乏な県なのに病院数・ベッド数・在院日数は全国トップ。だから日本で最も早く医療の変化が現れる。病院が機能分化のシェアーを確立すれば時代や地域のニーズに対応できる病院として発展できる」と話されました。施設を案内してくださったスタッフの方たちが「迷路のような建物でお恥ずかしいのですが…」と謙遜されていましたが、増築を重ねながら発展されてきた施設であり、近森院長先生のお話を裏打ちするものと感じ入りました。当院に限らず、病院機能分化を要求されている参加者の方たちは、大いなる示唆と勇気を与えられたのではないかと思います。病院内見学では、参加者の多くの質問に丁寧に回答くださったスタッフの方たちの自信と熱意を持った態度に感銘しました。病院見学の後は、会場を近隣のホテルに移し、近森病院脳神経外科部長/クリニカルパス委員会委員長の高梁潔先生から「近森病院に於けるクリニカルパスの流れ」、聖路加国際病院呼吸器内科、蝶名林直彦先生から「呼吸器疾患におけるクリニカルパスの導入とその効果」という内容で講演を拝聴しました。

   2日目は近隣のホテルを会場にした公開パス大会に参加させていただきました。近森病院の公開パス大会は3〜4ヵ月ごとの開催ということで、今回は「自然気胸における胸腔鏡下肺部分切除クリニカルパス」「全身麻酔におけるクリニカルパス」というテーマでした。担当の医師・看護師が疾患やパスの流れを発表された後、他の診療科やコメディカルなど他部門のスタッフが、各パスへの提案や検討を促したい事項を発表されていました。各部門で、薬効や検査データ、患者アンケートなど、パスの内容を検討しEBMに基づいた発表となっていました。専門職として有機的にパスに関わり、より良いチーム医療促進のための効果的なパス大会運営の方法であると感じ、大変参考になりました。



 近森病院でのパスの使用率は全入院患者数の20%ということでした。1日目を終えて沸いてきた私の疑問、「各職種のモチベーションが高く、院内・外での医療連携がシステムとして機能している施設で、なぜ更なるパスの推進が必要なのか?」は、このパス大会に参加して回答を得ることが出来ました。パスを推進する利点や効果は、利用するものの思惑で様々あると思われます。患者を含めた医療チームとして、確実なコンセンサスを得ることが、医療機能の分化や安全な医療の提供、患者もスタッフも満足度の高い医療につながっていく、との思いを強くしました。他の参加者の方たちも、私同様いろいろな収穫のあった2日間であったと思います。

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