日本クリニカルパス学会主催の、前橋赤十字病院パス大会見学会に参加させていただきました。全国から49名の参加者が集まりました。
 最初に池谷俊郎先生の「前橋赤十字病院のクリニカルパス」を拝聴しました。その内容は、前橋赤十字病院の概要、医療を取り巻く厳しい現状とその解決策としてのクリニカルパスの意義についてから始りました。そして1998年より開始されたクリニカルパス導入の過程を、沈滞期(一部の診療科と看護師のみの活動)、意志決定期(病院全体でパスに取り組むことを決定)、準備期(以前の活動の問題点を明確にし、今後の進め方を計画)、実施期(計画に基づき全員参加で実行)、発展期(複数診療科参加によるパスの実施、外来、入院治療の連携)と分けて説明いただきました。意志決定期における病院長よりのトップダウンでの方針決定、準備期でのパス運営委員会の組織作り、パス大会の開催が重要であることを再認識させていただきました。また、カレンザンダー直伝のアウトカム志向のパス作りを、腹腔鏡下胆嚢摘出術を例にとって「パスの適用基準」、「非適用基準」を明確に提示し、得られるアウトカム、診療行為を時系列で表に作成すると説明されました。適用基準の明確化とアウトカム重視は私たち相澤病院のパス改善の課題であるため、非常に参考になりました。パス導入による病院のシステムの改善、経営的な効果について提示していただいた後、外来・入院治療のパスの連携につきお話をいただきました。最後に、パスのIT化、パスによる継続的品質改善、パスの進化についておうかがいしました。
 
 続いて、看護部の前田陽子先生より「パス導入による看護業務の変化―パスパッケージの効果―」を拝聴しました。主にパスパッケージについて説明をうかがいました。パスパッケージはパス適用指示書、日めくり式パス表、バリアンスシート、補助資料より構成され、それを統括するオーバービューパスがあります。パス適用指示書は医師が、適用基準を決定するものです。日めくり式パス表には、その日のアウトカム、観察事項、看護指示などがチェックリスト形式で明示され、記入する必要のない部分は塗りつぶしてあります。日めくり式パス表を使用することにより看護記録の効率化が図れます。日めくり式パス表に記載できない事項は、バリアンスに相当するためバリアンスシートに記載されます。パスパッケージはフォーマットを統一して運用すれば電子カルテに応用でき、非常に参考になりました。
 院内見学の後、パス大会に参加しました。「アウトカムとエビデンスを考慮したクリニカルパスの作成方法」ということで、消化器科から「インターフェロン治療」、外科から「乳癌治療」の提示が行われ、活発な議論となりました。特に、乳癌治療の術前、周手術期、放射線治療、化学療法と外来、入院治療のパスの連携はすばらしく、私たちが、取り組まなければいけない課題をいただきました。
 パス大会終了後、懇親会の場でスタッフの皆様や全国からの参加者とたくさんの情報交換ができました。
 今後も、いろいろな病院のパス大会に参加させていただいて学ばせていただきたいと思います。 


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