平成16年10月13日、今年何度目かの台風の通り過ぎたあとに熊本空港に降り立ち、流通団地の中を過ぎると懐かしい病院の建物が目に入ってきました。2年前の訪問のことが頭の中に甦ってきました。
 ・・・パス委員長になって3ヶ月。各部署で思い思いに作成された様々のパスを全病院的に統一することまでは決定したものの、どうすればよいのか。院内に普及させるためにパス大会を開く、といってもパス大会が一体どのようなものか判りません。このような五里霧中のなかで藁をもつかむ思いで参加した公開パス大会でした。そこでの日めくりパスと、副島先生との出会い。ラパ胆の発表を終えた本田先生(今は小倉記念病院に異動された)の“帰ってゆっくり眠りたい”の一言が印象的でした。翌日に行われた副島先生の病診連携のレクチャー。想像以上の収穫と想い出を胸に意気揚揚と帰京したのがつい先日のことのように鮮やかに甦ってきました。あれから2年。副島先生にお越しいただいて始めた当院のパス大会も10回をかぞえ、この春には自分が公開パス大会を行わせていただくことになろうとは夢にも思いませんでした・・・
 昼に病院に着いて、まず院内のレストランへ(よその病院へ行くとレストランで食事することにしています。というより今回は市内でラーメンを食べる時間がなかっただけ)。お腹が満ちて会場へ着くと、まず学会事務局の中山さんとご対面。そこへスーパーPTの河島さん登場。広島以来の再開に四方山話をしているうちに会場も大分埋まってきたのであわてて自分の席に着きました。
 参加者は北は岩手から西は長崎と、当初の定員をはるかに超える60名。さすがは済生会熊本病院です。皆さんパス総本山への詣でに目を輝かせています。
 副島先生のいつもどおりの淡々とした口調のパスの概説に続き、今回の新企画、アウトカムビルダーを用いた日めくりのアウトカム設定のワークショップが行われました。雛型が予め登録されているものの、パス毎に観察項目の取捨選択や適正値の設定変更が可能です。作成に参加すればかなり考えさせられることになるので“何も考えない医療職”を作る心配もなさそうです。なによりもパス作成の省力化ができます。是非当院にも輸入したい優れものと感じ入りました。さらに田上さんの自主開発というから人材の豊富さに只々感心しました(というよりこのような人材を発掘できることに脱帽です)。
 その後、数グループにわかれて院内見学が行われました。小生のグループはパス部屋を見せていただきました。20人くらい集まれる広い部屋に病院支給の専用ノートPCが3台。当院も部屋の交渉中ですが、せめてこの四分の一の広さでもいいから欲しい・・・。
   さて、いよいよパス大会です。テーマは未破裂脳動脈瘤のクリッピング周術期パス。オープニングはなんと脳ドックで動脈瘤が発見されたAさんのビデオから。大学の学園祭じゃあるまいし、ここまでやるか・・・。となりの河村先生はお気に入りのご様子。定番の疾患の紹介から、疼痛コントロール、術後血液検査項目の見直し、と淡々と発表が続きます。ところがフロアから質問が出ません。まてよ、パス大会は喧喧諤諤の議論の場ではなかったか?あまりに発表の完成度が高くて質問の糸口がありません。両隣の勝尾、河村両先生も何とか突破口を見つけようと懸命です。術後の胃管の抜去もすでに改善済み。そこでもう一度オーバービューパスをよーく見ると、除毛、抗生剤3日投与、半抜糸・・・。見つけたゾ!
 パス大会のあとは職員食堂に場所を移して情報交換会が行われました。コメディカルの諸氏はジュースを飲んでいます。まだ仕事が残っているから飲めない由。気の毒・・・。
 翌日午前中は、パス委員長の松田先生と専任ナースの堀田さんの講義が行われました。熊本病院の日常のパス活動について、非常に明快にお話をいただいきました。この日は全国からご参加の諸氏からも活発な質問が出て、終了予定時刻を一時間もオーバーしましたが、かなり有意義な議論がなされました。小生も当院での活用法を少し述べさせていただきました。福井のバリアンス博士に言わせれば三人でしゃべりすぎたとのことでありますが。
 松田先生、後継者ですね!任期は2年かもしれませんが、再任、再々任、が普通です。ネバーエンディングストーリーです。今後とも末永くよろしくお願いします。
 堀田さん、ご苦労様ですが、必ず将来の糧になります(と副島先生がおっしゃっています)。頑張ってください。
 河島さん、濱田さん、小妻さん、またしてもお世話になりました。
 職員皆さんの笑顔と自分たちの病院に愛情と誇りを持って働いている姿がとても印象的でした。
 仙台での再開を期して熊本を後にしたのでした。

[ Page 1 2 3 4 ]

Copyright (c) Clinical Pathway 2005, All Right Reserved.