当院では、平成12年度にクリニカルパス(以下、パス)が導入され、19診療科53種類のパスが運用されています。今回、定期開催されている第7回院内クリニカルパス発表会に加えて、日本クリニカルパス学会の共催で、第2回東北厚生年金病院パス大会見学会を実施しました。前回を上回る数のご参加をいただき、医師・看護師だけではなく薬剤師・事務職・ケースマネジャーの参加もあり、チーム医療の集大成としてパスが認識されていることを実感しました。



 今回、3題の特別講演をいただき、済生会熊本病院副院長の副島秀久先生より「済生会病院におけるクリニカルパスの現状」と題し、バリアンスとアウトカムマネージメントについて、聖路加国際病院薬剤部長の井上忠夫先生より「チーム医療における薬剤師の役割について」と題し、薬剤経済学の概念と経済的効果について、また、国立南和歌山病院名誉院長の森脇要先生からは、「クリニカルパスとナレッジマネージメント」と題し、暗黙知を形式知に転換させ個人の知を組織の知へ昇華させていくことを学びました。
   当院の現状を振り返ると、パス導入当初の目的である@医療の標準化、Aチーム医療の推進、B平均在院日数の短縮化は、ほぼ達成されつつあります。今後は@情報開示とインフォームドコンセント、A医療の質の保証、Bコスト管理、Cリスク管理、Dデータ集積にシフトしていく必要があると思います。医療のクライアントである患者様に、いかに満足と評価をいただくかにフォーカスが当てられていくのだと考えています。
 すでに、特定病院における包括評価が導入され、これからの医療は、外来医療(入院代替機能をになう可能性)に適用可能な診断群分類、急性期のみならず慢性期も含めた一般病院における包括評価導入の可能性が検討される予定です。その意味でもパスは、必要不可欠のものになってくると思います。パスを作ることが目的ではなく、医療の質・効率・安全を最大化させるツールの一つとして拡大していきたいと思いいます。



 公開パス大会を通してできたパスの仲間や、ネットワークを活用し、ますます洗練されたパスに進化するように、お互いにがんばっていきましょう。次回の公開パス大会での再会を楽しみにしています。

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